クラフト メルクリンとミニチュア模型制作の専門店

特に印象に残った、蒸気機関車のエピソードについて書きたいと思います。それは、ショーを終えて再び車庫に戻ってきた、52型機関車についてのものです。この蒸気機関車は第二次世界大戦中、14日間の保証つきで建造されました。戦時だったのでいずれ爆撃されるという前提にたって作られたのです。設計が簡易で、通常蒸気機関車に用いられる部品よりも3000部品は節約されているという。そのかわり7000両もの蒸気機関車がわずか数年のうちに建造されたのでした(ちなみに長距離用03型は300両ほどしか生産されていない)。まさに短期決戦、大八車状態で、この蒸気機関車はドイツが侵攻した国々の前線に出て行った。兵士を送り込み、続いて物資を運ぶ……。対戦中、ドイツがあっという間に領土を拡大できたのも、こうした輸送経路のパイプが密だったからなのです。結局「14日間保証」という言葉とはうらはらに、多くの機関車は生き延び、現在こうして私たちの目の前にあるのです。また多くの機関車がドイツに回収されることなく出征先に残ったままになったので、この蒸気機関車は、主に東ヨーロッパの鉄道輸送を支えることになりました(ドイツに回収されたのは7000両のうちの2000両ほど。現在、ポーランドに1500両、ロシアに1500両ほど同型の機関車が残っているという)。
写真35 写真36
ショーを終え、車庫に戻ってきた52型、ご苦労様!
最後に分かったのは、このおじさんをもってしても「日本人オタクにはかなわない...」と思っているらしいということ。「やつら、あんな極東からやって来て、それがポーランドだろうと、ルーマニアだろうと、どういうわけか最高の写真スポットを知っている。町中タクシーでかっ飛ばして、いつでも一番のりさ。いつどこにいっても、日本人が先に着いている。どうしてなんだろう?」日本人のSLファンの皆さん、なぜそのようなことができるのか、彼に教えてあげてください!
〈さいごに...〉
16時58分、復路の蒸気機関車がまたベルリンに向けて走り始めた。コンパートメントに車掌さんがやって来て「フェスティバルは気に入った?」と聞かれたので、「ええ、とっても」と答えたら、彼もとても満足そうだった。おもむろに車掌さんの手が伸びて頬に触れたのは、ドイツ人が子供に対してよくする「いい子、いい子」の意味だったのか、それとも汚れた私の顔をぬぐってくれたのだろうか...
いかがでしたか、今回のドレスデンの旅。自分としては一番楽しんじゃったレポートだったかも。このレポートを書かせていただかなければ、私は蒸気機関車なんて一度も乗らずに一生過ごしていたことでしょう。あらためて日本のCRAFTの社長はじめ、企画スタッフの方に感謝いたします。皆さんにも是非行っていただきたいので、この企画についての情報も以下に記しますね。
Viel Spass und auf Wiedersehen! 楽しんできてね。そしてまたお会いしましょう!!
Mit herzlichen Gruessen,Y. Miyake

蒸気機関車の座席は完全予約制。行き先・日時・時刻表などの情報はwww.berlin-macht-dampf.deで、このサイトから申し込み、座席予約も可能です。(E-Mailによる申し込みはtraditionszug.berlin@gmx.deまで)
私が夢中になって撮影した写真の中にはもちろんメルクリンからもモデルアップされている機関車もあるのでしょう...それらお問い合わせはドイツ人より詳しい?日本屈指のCRAFTのスタッフがアドバイスしてくれるはず。お気軽に問い合わせしてみて下さいね。

←前のページ  【6/6 ページ】

クラフトトップ