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メルクリンとミニチュア模型制作の専門店
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〈再び機関庫にて、あるDB職員との交流〉
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午後、外では蒸気機関車のショーが行われていたが、折からの激しい雨で一時中断になってしまった。観客は車庫の中に非難する。車庫内はショーのために蒸気機関車が出払っていて、がらんどうになっている。しかし、激しい雨にもオタク魂の火は消えることはない。ここでも、シャッターを切るファンたち。いや、どうして、煙にけぶる車庫にぽつねんと残った蒸気機関車っていうのもまた風情があるじゃあーりませんか。私も写真撮ろうっと。よいしょ、あれー、でもピントが合わないなー。これはフラッシュかなー。なんてやっていたら、後ろから「それ、デジタルカメラ?いいの?」と声をかけられた。
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振り向くと大きなドイツ人が立っていた。靴下にサンダル履きというところが、いかにもドイツ的オタクさを醸している。片手には大きな黒い手提げかばんが口を開いていて、もう一方の手にはソニーのビデオカメラが握られている。「僕もこういうの買おうかなと思っているんだけど、紙になって出てこないのが不安だし。現像もできる?」デジタルカメラについていろいろ話し合っているうち、仲良くなってしまった。彼はベルリンのDBマンなのだが、このフェスティバル期間中はお仕事返上で、ドレスデンに駆けつけた。チェコにホテルを取って、そこから毎日通ってきているのだという。「チェコって言ってもそんなに遠くないよ。路面電車で終点までいくだろ、そこはほぼ国境だから、そこから船でエルベを渡る。対岸がチェコなんだよ。ドレスデン近郊はなんでも高いから。それにね…」彼はお財布の中から、一枚の紙を取り出した。「これ国際チケット。申請するとDB職員だけが発行してもらえるんだ。一ヶ月間有効で、ここに書いてある国ならどこでもタダで行ける。」そう言って、彼はニマッと笑ったのだった。日本のJR職員の皆さん、あなた方にもこんなご優待があるんですかっ。もうお分かりだと思いますが、この人は根っからの鉄道ファンで、80年代からかれこれ20年間、鉄道の写真を撮り続けて、世界中を旅しているという。「趣味が仕事で、仕事が趣味。つまり僕は鉄道なんだ(Ich bin Eisenbahn!)。」と聞いたときには、私も「あ、こーれはイカン、逃げよ」とも思いました。私はオタクというと、相手が門外漢であろうとなかろうと、とにかく自分が関心あることをまくし立てる人、というイメージがあったのです。しかし、彼は違っていました...
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給水中っ!!
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とにかく車輪がデカイ。
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私が日本人で、このフェスティバルについてレポートするのだというと、親切にいろいろ教えてくれたのです。彼は、彼にとってはおそらく常識すぎるようなことでもばかにせず、丁寧に説明してくれる。どういうしくみで蒸気機関車が走るのか、蒸気機関車のナンバーはどうやって決まるのかなど。すごいのは私が指差すものすべてについて、すぐさまよどみなく的確な情報を与えることができるということで、例えば会話はこんな調子。「これは?」「水を供給する塔」「あそこは?」「砂を入れるところ。これを発車する時に、車輪に噴きつけるんだ。すると潤滑が良くなって、発車時の負荷が小さくなる」「あれは?」「俗称で「ザクセンの誇り(Sachsen Stolz)」。20年代に製造されてベルリン−ライプチヒ−ドレスデンの長距離用だった。当時としては画期的なものだったから、みんなこの機関車をシュトルツ(誇り)に思ったんだよ。」指差された蒸気機関車は、車体を金色の帯で飾られていて、いかにも誇らしげな感じ。見れば、それを話すおじさんの顔も誇らしげに輝いているではありませんか。
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これがザクセン・シュトルツ(ザクセンの誇り)!
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