2013年5月31日

素晴らしい軽便レイアウト

 

今日は軽便の話題、てんこ盛りでまいります。

はじめに、お客様の依頼で前後照明を搭載したミニトレインズのコッペルタイプ蒸気をご紹介。

純正のヘッドライトはご覧のようにぺッタンコ。

形状を崩さず、純正形状のままLEDを仕込むわけですが万一しくじると、お預かりした車輌は台無し、まさに一発勝負。この種の作業は頭の中で加工イメージを何度もシミュレーションし、今日はイケル! 本能的にそう感じる時に集中して取り組みます。

無事に完成。手前味噌ですが、ぺッタンコのヘッドライトが点灯する様はグッときます。尾灯はキャビン面なので楽につけることができました。もちろん進行方向切替えになっています。

さて、ここからが本題。昨年8月のブログでご紹介した、シンガポール在住のN様からレイアウト(HOn3・10.5mmゲージ)その後の写真をコメントとともにお送りいただきました。

ストラクチャーや小物の完成度がとても素晴らしく、軽便やミニチュアファンの方々には参考になること間違いなし。専門誌ネタになりそうな中味の濃さ。ではご紹介してまいりましょう。以下のテキストと写真(50点近くあります)はご本人からいただいた原文のままです。

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レイアウト完成まで未だ道半ばですが、ストラクチャー作りも一段落しましたので(あと廃屋、集材所、建設中の建物、オイルタンクの4点を予定)途中経過として写真を送らせて頂きます。

本格的なレイアウトの建設はこれが最後と考えられますので、見えないところも手抜きをしないで可能な限り時間(有り余る)と費用(微々たる額)をかけて納得出来るものを作る事に心がけました。

(1) 見えない所も作る。

建物は全部インテリアも作り、裏面の配線もスッキリに心がけた。 (昔、ゼロ戦とロッキードF-104 を見た時に配管、配線の設計、施工の気配りの違いにビックリした。 20年の年月の差だけではない様に感じられた。 アメリカで生活を始め犬の散歩時に近所の家のガレージを見ると、素人がどうしてこんなに整然とオーガナイズ出来るのか不思議に思うと同時に、そのためにお金を掛けているのにビックリ) 

(2) なるべくオリジナル、納得出来る構造に作る。 

※ 建物は2×4工法を念頭に柱、窓、入り口の枠を作り、それにウエザリングを施した外板を一枚一枚張り付けた。

※ チェーンブロックの鎖の掛け方が雑誌に載っていた模型の作例では作動しないので、ネットで実物写真をチェックし エンドレスと“の”の字型に掛けた。(実物と同じかは不明)

※ ログポンドから引き上げた丸太をターンテーブルを使ってキャリッジ載せる方法を考えつくまで試行錯誤を繰り返しながら1週間かかった。

(3) 細かい物にチャレンジする。

修理工場内の工作機、コーヒーポット、万力の回転棒の抜け止め、刃のある鋸、トイレでウンチをしている人等。 出かかっているウンチも作ろうかと女房に言ったら趣味が悪いと言われた。 目も手先も若い時より衰えているはずだのに全く苦にならない。 弟に言わせると歳を取り頑固になった証拠だと。 頑固とはいったん決めたら回りを気にせず突き進むから本人には全く苦痛でないとの事。 納得。

(4) 気持ち良く工作をするため必要な材料は前もって調達しておく。

シンガポールでは鉄道模型、レイアウト用品はほとんど入手不可能。 DIYの店で買ったビニール被覆線は半田付け後、数回曲げるとポロリと切れる。耐水ペーパーは削れるより早く糊が悪いのか石が取れ削れなくなり、濡れると反り著しく使いづらい。 

※ ストラクチャー用の木材はアメリカにオーダー。 HOスケールで99サイズから選べる。

※ 電気用品は秋葉原の様な所を見つけたので配線のやり直しをするきっかけになった。

※ ベニア板、発砲スチロール、糊等は画材クラフト店で入手可。 水用の透明で泡の入らない

※ エポキシ樹脂はアメリカからわざわざ持ってきたが、同じ物を売っていた。

※ その他は日本に行った時に買いだめ。

(5) 専用メモ帳を手元に置きアイディア、有用な記事の載っていた雑誌のナンバー、ストラクチャーの寸法等を記入して活用した。 

1. 台枠=122cm×76cm (材質はココボロとオークココボロは長尺物が入手出来る最高級の木材。趣味の木工用に求めていた最後のストック。重く水に浮かない)

2. ベニアから切り出した路床(一部仕上がりと異なる)

3. 発泡スチロールでラフに地形を作った状態

4. 地形全体を紙粘土でカバーし、スパイク終了(篠原 HOn3)

5. 裏面の配線スッキリに心がけたが満足出来ず、1週間かけてやり直した。テストランはリバース区間を含め一発でOK.まさに奇跡

6-7. 橋は地形に合わせて脚の長さに変化をつけた

8. ターンテーブル (駆動部、コントロールシステムは箱根模型工房クラフト製)

9. ドンキーエンジン(キットの一部を使用し1/2に縮小)

10. おがくず保管櫓と製材所外観 (櫓、コンベアーは自作、製材所はキットを2/3に縮小)

11. 出荷セクション

13-14-15. ログホール(切り出された丸太を保管している池から引き上げる装置)一般にはログキャリッジと並行に設置され、浅い溝に入ったコンベアー式のフックで引き上げられるが、当製材所はキャリッジと直角のためターンテーブルで900度回転させる必要性からカート式にした。 

 

16. ログキャリッジ (丸太を丸鋸に供給する装置)

17. 調理棟と宿舎(キットを2/3に縮小)

18. 宿舎内部

19. 調理棟内部

   

20. ログキャンプ不整地に小屋を建て、渡り廊下風通路を作りたかった。小さいレイアウトなので建物を小振りにせざるを得なかった。

21. 鋸の目立て小屋  福利厚生の一環としてコーヒーポットが薪ストーブに載っている。

22. 宿舎

                         

23. トイレ

24. 自作の荷車風車輪の作り方~消火用ホースリール運搬車を作りたかったので考えた方法。ハブとリムになる真鍮パイプを方眼紙に仮止めし、細い木材のスポークを瞬間接着剤で接着。 強度は無いがディスプレー用なので問題ない。希望サイズの物が一つ30分で出来る。工作はサイズが大きいほど容易。見栄え良く出来たので、ビッグホイール、荷馬車を作った。

 

25-26- 27. 消火器

 

28-29-30. ホースリール

 

31-32. ロギングホイールは昔、切り倒した丸太の一端を車軸から鎖で吊るし、他方を引きずりながら牛馬に運ばせるのに使った。大きい物は車輪の直径3.5m 程ある。作例の車輪の直径は33mm。

 

33. 荷馬車。ビッグホイールとともに現役ではないが将来、林業博物館を建てる予定で保管。全長41mm、車輪の直径13mm、15mm。

34. ログポンド桟橋とダイナマイト保管小屋

35. ダイナマイトの入った木箱 (シールは代用品)

36. 便器

37. 二段ベッド

38. コーヒーポット

39. バケツ

40. ストーブ

41. ストーブとコーヒーポットと薪の入ったバケツ

42. トイレの中のフィギュア(既製品の加工、住人は現在この2人だけ)

43. 水タンク

44. 風車 (羽根は僅かな風でも回る)

45. 修理工場。初め小屋根?無しで作ったが、一般住居と変化が無かったのでヨロイ戸のある小屋根を追加した。

46. ドリルプレス。真鍮線、パイプを使い半日で出来たので気を良くして旋盤、万力へと続いた。

47. 旋盤。モーター部はHOのブレーキシリンダーの転用、バイト固定台と心押し台はスライド。

48. 万力。どうしても大きくなり一番手間が掛った。

49. チェンホイスト。レールに沿って移動。

50. レンチ。工作力の無さがミエミエ。 

51-52. アセチレン溶接機。レギュレーターの作り方、ボンベからレギュレーターを経てトーチへのパイピングに苦労した。(ボンベの色はアメリカ色が不明なので日本色にした。万国共通?アメリカの病院の酸素ボンベの色はグリーン) 

53-54- 55. 修理工場内部

                                    〈〈〈 FIN 〉〉〉