2011年6月 のアーカイブ

2011年6月26日

プリント基板制作の巻


クラフトでは様々なエレクトロニクス商品を作っています。今回は、いろいろな電子部品がのった板=(プリント基板)をどのようにして作っているか、触れたいと思います。

エレクトロニクス商品は企画立案の後、回路設計からパターン図の作成までは、日頃大変お世話になっている、凄腕の技術スタッフにお願いしています。

回路設計ともかく、迷路のようなプリント基板のパターンは、パーツ選定や、利に叶った通電ラインの太さ、ノイズや発振対策のため部品間を近くしたり離したり。。。万人には決してできるものではありません。

私にバトンタッチされるのは、基板パターン図をデータ化するところから。。。


データ化したパターンのチェック後、ポジフィルムをおこします。のちにベースとなる基板に感光する際、ゴーストなどが出ないよう印刷製版用の精度の高いフィルムを使っています。


ベースになる基板は、熱にも強く断裁器で切断しやすいという利点からガラスエポキシ製を使用。

エッチング前の基板には、約30~40ミクロンの銅が片面全面(両面仕様もあります)にマウントされ、表面には特殊な溶剤が塗られています。これを先のフィルムに真空吸着させて紫外線を一定時間あてて感光します。これによって紫外線が直接あたらない配線パターン(フィルムの黒い部分)は感光されず、それ以外の部分は感光されます。感光後、専用現像液で現像を行ないます。

現像した基板をしっかり水洗いして乾燥させ、暖めたエッチング液(塩化第二鉄溶液)に漬け込みます。前出の感光~現像、そしてこのエッチングまで、時間と温度管理はとても重要で、少しでも間違えると失敗作になります。

エッチング液の取扱いはやっかいです。強烈な異臭、1滴でも服に付くと穴があき、たいていのものは腐食します。車両のエッチングキットなども基本的には同じ方法で作られています。この液体、とにかく体にはいいことナシです(汗)

撮影もカメラが壊れると怖いのでできませんでした。エッチング完了後はこんな感じに仕上がります。


表面の青い部分は、感光されなかった部分で、表面の特殊溶剤が配線になるパターンをエッチング液から守ってくれたわけです。これを研摩すると綺麗な銅が出てきます。このようにパターン化された基板によって効率よく部品を実装できます。


すべてのランド(部品の足が刺さる丸い部分)のセンターに穴をあけてプリント基板の制作は完了します。ここから部品実装です。


↓ これは部品実装が終わったターンテーブルの制御基板です。中央下のムカデのような28ピンのパーツはPICと呼ばれる心臓部の制御用IC。これにはFIXしたプログラムを書き込んだあと、組み込みます。


通常、最終的な商品になるまでにはテストと改良を重ねます。プログラム変更(デバック)や、パターンが変更になることも。。。


今宵は、仕上がったばかりの「車両搭載用パトランプ(回転灯ユニット)」をオークションに出品しました。

今回の基板は、フルSMD(表面実装パーツ)で仕上げています。SMDは携帯電話の内部基板にも使われているとても小さなパーツで、本来は大量生産(機械による実装)向けですが、我々が産み出すものは超極少ロット、自家制作する以外に手がないわけです。


上の大きいほうが、従来品のパトランプ基板です。基板中央のPIC(8ピンIC)が、SMDになると下のサイズになります。同じ機能を持つパーツなのに現代技術ではここまで小さくできることに感動しきりです。

パトランプを車両に入れるためには基板を小さくしなければなりませんから、SMD使用は前提条件。最終的にはこのように完成できました。デジトラックスデコーダとの比較です。

このように、クラフトのエレクトロニクス商品は、ひとつずつ心をこめて制作しています。すべての部品は、私の指紋付です(笑)

鉄道模型界で、これらエレクトロニクスの産物は、レイアウトの表には決して出てこないギミックともいえるものですが、同じ傾向色が強い現代のレイアウトを一新させるためにも、大切に育てていくべき最重要分野だと私は考えています。

2011年6月10日

LED廃盤のお知らせ

 

レイアウトの夜景構築にかかせないLEDとして、クラフトが販売してきた「広拡散型・超電球色LED」が、製造元の諸事情で事前予告なく、生産中止になりました。

特殊なLEDなため、後継品はすぐには生産されないとの情報です。本日現在の在庫は希少、人気商品のため完売終了は目前です。

薄暗い欧州の街灯りをはじめ、今回、「鉄道模型ちゃんねる・スペシャル2」の熱海制作でも、このLEDを数百個以上使用して昭和30年代、まだまだ多用されていたであろう、当時の民家のぼんやりした暖かい光の再現に貢献してくれました。

色温度に変化を付けるために他メーカー品も多数使いましたが、このLEDの独特な色と、光の拡散性はどの製品よりも優れていて、あらためて惚れ込んでいたところに、今回の突然の情報、とても残念でなりません。

後継品のスペックに期待したいと思います。。。

2011年6月7日

副音声収録

 

引き続き「鉄道模型ちゃんねる・スペシャル2」ネタで失礼します。

いよいよ今週末、放映です。今日、最終仕上げとなる副音声の収録が終わりました。

業界で「ハコ」と呼ばれるスタジオ。こちらがコントロールルームで左側奥が防音密室のスタジオです。


左から、茶目っ気たっぷりの畑中シェフ、そしてオレンジ色が私、

続いて今回タッグを組んだ岡野、そしてファンキーな呉尾さんの順に座につき、ひと足早く、仕上がった本編を見ながらの副音声収録でした。

放映当日は、主音声と副音声を同時に聞きとることは難しいので、録画をおすすめします。映像は同じですが、音声モードを変えていただくとまったく別物としてお楽しみいただけると思います。

終始、素人離れした畑中さんと呉尾さんのトークに押されっぱなしの我々。放送禁止用語も飛び交い、リテイクも(笑)

今回のスペシャルは「昭和の想い出!よみがえる名車両と町」と題し、当時の銀座・熱海・大阪をクローズアップしています。

番組内では昭和30年代当時の珍しい映像がふんだんに盛り込まれ、歴史探訪のような観点でも十分楽しめる内容になっています。

さらに模型に見事にリンクされているのが「鉄道模型ちゃんねる」の醍醐味です。

今回、我々は熱海を担当しました。

昭和の当時に比べ、やや寂れた感が否めないご当地ですが、心からエールを送りたい、そんな気持ちでいっぱいです。

続いてTVネタをもうひとつ。

局違いですが「マルモのおきて」というドラマが人気のようです。人気のひとつが登場する犬、ミニチュアシュナウザーのムックです。

実は同じミニチュアシュナウザー、クラフトの番犬なんです。ジャカジャン!


名前は「しゅうたろう」。そのまんまであります。なぜシュナウザーかというとドイツの犬だから。。。です。

トレードマークのヒゲ(シュナウザーとはドイツ語で口髭の意味)は食事で汚れるので短めにカットしているのが彼の味です。いつも私と出勤して一緒に帰るのですが、最近、道行く子供に「ムックと同じだ!」とよく声をかけられるようになりました。恥ずかしや~

犬は賛否両論ありますが、とても健気(けなげ)で癒されます。今回の熱海制作で、ダウンしたときも寄り添ってくれました。


ちょっとオーバーアクションな私であります(笑)

脱線しましたが、今週末の番組をどうぞお楽しみに!!