2013年2月 のアーカイブ

2013年2月15日

車輌照明のアレンジ

 

お客様からのご依頼で届いた工芸品のような木箱。

ドイツのガレージメーカー、シュミット製のZゲージガラス電車です。

台車やギアケースなど主要部分はメルクリンZゲージのパーツが流用され、モーターはフライホイール付のミニモーターが搭載、走行はメルクリンより滑らかでスムーズです。

現代の3Dキャドを使った造形が普及する前に作られていたため、完全なアナログメイド。このため、観察すると制作時の苦労が各部に見受けられます。

ボディは真鍮製。前後のライト部分は穴が開いた状態になっています。メーカーが照明を入れようとして断念したのが、ユーザーが加工しやすいように考えられたのか…意図がありそうな気さえします。

今回のミッションはこの穴(前後4箇所)を光らせることです。

使用前の裏側。バンパー部分はレジン造形されていてボディにがっちり接着されていて穴がよく見えない状態だったことと、とにかく貴重な車輌とあってかなり慎重な作業になりました。

外観はそのまま、無事に装着が完了しました。写真で光は純白に見えますが電球色を使用し、進行方向に合わせて点灯します。

続いてはこちら。密連ホロが特徴のフライシュマン(Nゲージ)の貨車編成。

室内と尾灯を点灯させました。こちらも合計4つのLEDを使用しています。

ガラス電車同様、尾灯は使用前から開いていた穴を流用し、クリア樹脂でレンズを成形しました。車輌の照明は「不自然に漏れてしまう光をいかに遮光するか」が重要なポイントで、こちらもかなり神経を使う作業になりました。

この貨車は仕切板が入っていて二室に分かれているため、小さな各室のスペースに照明を入れています。

客車照明はゲージ問わず、オプション設定されていない機種は多数あります。そのような車輌への搭載は、ほとんどの販売店で対応いただけないのではないかと思います。

今回ご紹介した特殊車輌への搭載やパトランプ(車輌用のマイクロ基板仕様あり)搭載等々、まだしばらくは対応いたします。メルクリンZゲージの客車照明情報はこちらからご覧下さい。

お気軽にお問合せ下さい!

2013年2月6日

小さなレイアウト

 

先日ヤフーオークションに出品したこちらの1点物のZゲージレイアウトセット。

ありがたく落札いただいたお客様から追加アレンジのリクエストをいただき、最終的にこのようなカタチになって先日、無事にお届けが完了しました。

レイアウトには専用のトラムが付属、ポールが架線に追従して走行するのがこのレイアウトの目玉です。架線に注意してレールに乗せて。。。

実機同様に、ヒモを下方に引き下げてポール先端を架線に接触させます。

こちらはアレンジ前の写真ですが、ストレートに張った架線のターニングポイントで実物と同じようにポールがカクッカクッと首を振ります。接触部分はこのスケールではとても小さく、肉眼ではほとんど見えないサイズです。関連動画をこちらからご覧いただけます。

同類の車輌は「Zゲージ・海外型フリーランス・トラム」として発売(架線追従は不可)していますが、これとは別物の設計で、こちらは「BUSCHトロッコ」の動力専用品になっています。(簡単に元のトロッコに戻すことも可能)

ですから、このレイアウトではZゲージトラムとして、別のレイアウトではHOナローのトロッコとして、車体を着せ替えてお楽しみいただくことが可能です。

照明付のBUSCHトロッコをベースにしていますが元来、矢印で示す「照明用の電極が通電しにくくなる」というウイークポイントがあります。(標準トロッコは車体に動力を押し込んでセット)

ハンダを肉盛りしただけの接点が酸化してアダになっているのです。今回制作したクラフト・トラムのボディ側の電極受けには適度にテンションがかかる電極板を内蔵して、このウイークポイントを解消させています。

余談ですが、シングルポールトラムは、かなり以前に「明治村」で実機を見てから、ポールの動きの虜になり、何とかZゲージでカタチにしたいと思い続けてきました。

ここににたどりつくまで、時間をみつけてはコツコツ試作を繰返してきていたのですが、ポールの架線追従時に発生する「車輌重心の崩れによる集電切れ(車輪の浮き上がり)」がどうしても解消できずにいました。

それを見事に解消してくれたのがBUSCHトロッコでした。他に類を見ない強力なトラクションは、海外に見られる急坂を行き交う路面電車シーンも実現可能です。夢やイメージはどこまでも広がります。

落札いただきましたお客様に、あらためて感謝の気持ちを込めて。。。